社会保険や税金などの公的手続きは、会社員であればその会社が代わりに行ってくれます。
しかし、転職先が決まっていないなど、退職後に期間が空く場合には、自分で公的手続きを行う必要があります。
本記事では、入社前後で確認するべき公的手続きと注意点について解説いたします。
転職や退職が決まったら何をすべきか、事前に確認しておきましょう。
入社前後に確認するべき公的手続き

入社前後で確認するべき公的手続きには、おもに以下の5つがあります。
・健康保険
・年金
・所得税
・住民税
・雇用保険
それぞれ詳しく見ていきましょう。
健康保険
転職先が決まっている場合
入社後、転職先にて被保険者資格取得の手続きをしてもらいましょう。
全国健康保険協会が管轄する事業所の場合は、「健康保険被保険者証 本人」が交付されます。
転職先が決まっていない場合
退職すると、それまで所属していた会社の健康保険から外れるので、健康保険の変更手続きが必要です。
転職先が決まっていない場合は、以下の3通りの加入方法があります。
①国民健康保険への加入手続き
退職日の翌日から14日以内に居住の市町村役場の担当窓口にて加入手続きをします。
退職時に会社より交付される「健康保険資格喪失証明書」を持参していきましょう。
②それまで加入していた健康保険の任意継続被保険者制度を利用
退職日の翌日から20日以内に、管轄の社会保険事務局、もしくは所属する健康保険組合にて手続きをします。
それまで加入していた健康保険に、最大2年間継続して加入できます。
③家族の扶養に入る
家族が会社の健康保険に加入している場合は、家族が勤める会社にて手続きをします。
退職後、できるだけ早いタイミングで「被扶養者異動届」を提出しましょう。
年金
転職先が決まっている場合
入社後、転職先に年金手帳を提出しましょう。
転職先の会社にて引き続き年金の手続きを行ってくれます。
転職先が決まっていない場合
退職すると、これまで加入していた「第2被保険者」(国民年金+厚生年金)から「第1被保険者」(国民年金)に区分が変わるため、切り替えの手続きをする必要があります。
退職日の翌日から14日以内に居住の市町村役場の担当窓口にて手続きをしましょう。
所得税
転職先が決まっている場合
入社後、転職先に源泉徴収票を提出しましょう。
転職先の会社にて引き続き源泉徴収してもらえます。
前の会社から源泉徴収票をもらっていない場合は依頼して受け取りましょう。
転職先が決まっていない場合
退職した日から、その年の12月31日までに転職しなかった場合は、確定申告が必要です。
翌年の2月15日〜3月15日までの間に居住を管轄する税務署に確定申告書を提出しましょう。
住民税
1月〜5月に退職の場合
5月までの住民税が退職月の給与や退職金などから一括で天引きされます。
もしも、徴収される住民税が退職月の給与や退職金よりも大きい場合は、その分を普通徴収として納付します。
6月〜12月に退職の場合
退職月までの住民税は給与から天引きされますが、翌月以降の住民税は普通徴収にて納付します。
また、退職月から翌年5月までの住民税を一括で給与から天引きすることも可能です。
希望する場合は、退職前に会社に依頼しましょう。
雇用保険
転職先が決まっていない場合は、条件を満たせば雇用保険の失業手当を受け取ることができます。
自己都合の場合
退職までの過去2年間に通算して12か月以上勤務していれば受給資格者となります。
支給までに2か月の給付制限期間があります。
会社都合の場合
退職までの過去1年間に通算して6か月以上勤務していれば特定受給資格者となります。
給付制限期間はなく、7日間の待機期間を経て支給が開始されます。
入社前後の公的手続きの注意点

ここでは、入社前後の公的手続きをする際の注意点を2つお伝えいたします。
手続きの期日を確認する
上記の各種公的手続きは、加入や納付においてそれぞれ期間が定められております。
期間内に手続きを行わないと、以下のような可能性が出てきます。
・健康保険…病気やけがをした際の医療費が全額自己負担になる
・年金…未納のままだと将来年金が減額したり受け取れなくなる
・所得税…確定申告をしていないと脱税として罰則を受ける
・住民税…延滞金が発生したり、財産を差し押さえられる
・雇用保険…受給期間をすぎると給付日数が残っていても失業手当を受給できなくなる
退職後に入社まで期間が空く場合は、必ず期間内に役所などで必要な手続きを行うようにしましょう。
もらった書類はなくさない
退職時に会社から受け取る書類や返却物は、転職先での手続きや公的手続きにおいて必要になります。
転職がはじめてのときは、離職票や雇用保険被保険者証などの書類が何に必要かわからないかもしれませんが、どれも今後の手続きにおいて影響を及ぼすものばかりです。
転職までに期間が空く場合は、紙切れだと思ってなくしてしまわないように特に注意が必要です。
また、前の会社から必要な書類を受け取っていない場合は、できる限り退職前までにもらえるように依頼しておきましょう。
まとめ
本記事では、入社前後で確認するべき公的手続きと注意点について解説いたしました。
退職する際、すべての人が退職後すぐに次の会社に入社するとは限りません。
場合によっては、入社までに期間が空く人もいるでしょう。
その際には、紹介した各種公的手続きが必要となってきますので、忘れずに手続きを行うことが大切です。
本記事が入社前後で確認すべき手続きを把握する一助となれば幸いです。