会社員の場合、住民税は基本的に給与から自動的に天引きされています。
自分で直接納付していないため、住民税の支払いについて馴染みがない方も多いのではないでしょうか。
しかし、転職や退職をした場合は、自分で住民税を納付しなければならないケースが出てきます。
では、転職や退職をした際は、住民税の支払いについてどのような手続きが必要になるのでしょうか?
本記事では、転職後の住民税について、以下の点を解説いたします。
・住民税の仕組みと納付方法
・転職後の住民税の納付方法
・住民税の節税方法
住民税の仕組みを理解し、適切に支払うための参考にしてください。
住民税の仕組みと納付方法

住民税とは、地方自治体が行政サービスを行う目的で徴収する税金のことです。
住民税の仕組み
住民税は、「均等割額」と「所得割額」の2つで構成されています。
【均等割額】
所得に関係なく、均等に課税されます。
市町村民税(23区は特別区民税)3,500円+道府県民税(東京都は都民税)1,500円の計5,000円。
【所得割額】
前年の1月1日〜12月31日までの所得に対して課税されます。
市町村民税(23区は特別区民税)6%、道府県民税(東京都は都民税)4%の計10%。
【算出方法】
住民税=均等割額(5,000円)+所得割額(課税所得×10%‐税額控除)
確定した所得をもとに計算され、6月から翌年の5月にかけて納付します。
納付方法
住民税の納付方法は、「普通徴収」と「特別徴収」の2種類があります。
【普通徴収】
自分で住民税を納める方法です。
自治体から送られる納付書に従い、一括または4分割(6月、8月、10月、1月)で支払います。
【特別徴収】
毎月の給与から天引きする方法です(会社が従業員に代わって納付)。
1年分の住民税を12回に分割し、毎月の給与から天引きして支払います。
転職後の住民税の納付方法

転職後の住民税の納付方法は、自動で「普通徴収」に切り替わります。
また、退職する時期によっても納付方法が異なってきます。
特別徴収で引き続き給与から天引きする方法と、退職時期による納付方法の違いをそれぞれ見ていきましょう。
特別徴収を継続する方法
特別徴収を希望する場合は、「給与所得者異動届出書」の提出が必要になります。
退職前の会社に届出書の発行を依頼し、転職先の会社経由で自治体に提出することで、特別徴収を継続できます。
退職から次の会社に転職するまでに期間が空く場合や、手続きをしていない場合は特別徴収が継続できませんので注意しましょう。
1月から5月に退職した場合
1月から5月に退職した場合は、退職月から5月までの住民税が、退職月の給与や退職金から一括で徴収されます。
退職月の給与から多くの住民税が引かれるため、通常よりも手取りが少なくなる可能性が高いです。
また、引かれる住民税が退職月の給与や退職金よりも多くなってしまう場合は、普通徴収として後日納付する形になります。
6月から12月に退職した場合
6月から12月に退職した場合は、退職月の住民税のみが給与から天引きされ、それ以降は普通徴収に切り替わります。
しかし、希望すれば退職月から翌年5月までの住民税を一括で給与や退職金から徴収してもらうことも可能です。
希望する場合は、退職前に会社に相談してみましょう。
どちらの納付方法にするかは個人で選択できます。
経済状況や今後の収入を考慮したうえで判断しましょう。
住民税の節税方法

住民税は、転職のタイミングや経済状況によっては負担が大きく、少しでも負担を減らしたいところです。
住民税の算出方法は、以下の計算式で求められます。
住民税=均等割額(5,000円)+所得割額(課税所得×10%‐税額控除)
つまり、住民税を減らすためには、所得金額を減らすか、所得控除や税額控除を増やすことがポイントになります。
ここでは、所得控除や税額控除を増やし、節税する対策を3つ紹介します。
ふるさと納税
ふるさと納税は、応援したい自治体に対して寄付する制度です。
ふるさと納税を行った場合、寄付金から2,000円を差し引いた金額が「寄付金控除」となり所得控除を受けられます。
実質2,000円の負担で節税しつつ、返礼品を受け取れると考えれば、お得な制度といえるでしょう。
配偶者控除・扶養控除
配偶者控除や扶養控除は、配偶者や家族の所得の合計が48万円以下の場合に、所得控除が受けられるものです。
配偶者や子、親など、扶養する家族がいる方は住民税をおさえられるので忘れずに活用しましょう。
年末調整時に「配偶者控除等申告書」、「扶養控除申告書」を提出することで控除が適用されます。
個人型確定拠出年金(iDeCo)
個人型確定拠出年金(iDeCo)は、誰でも加入できる任意の年金制度です。
利用することで、掛け金は「小規模企業共済掛金等控除」として全額所得控除の対象となります。
60歳以上にならないと掛け金を引き出せないことには注意が必要ですが、経済状況に応じて掛け金を設定し運用すれば節税の効果は大きいです。
まとめ
本記事では、転職後の住民税について、以下の点を解説いたしました。
・住民税の仕組みと納付方法
・転職後の住民税の納付方法
・住民税の節税方法
転職後の住民税の納付方法はさまざまで、それぞれ適切に手続きする必要があります。
転職後に住民税の支払いであわてることのないよう、仕組みの理解にお役立ていただければ幸いです。